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妻教育
以前、知人宅にて。

「セネガルでは、奥さんに手をあげるのはよくあることなの?」
と知人マダムが夫兄弟たちに何気に聞いた。

「夫の言うことをきかない場合は、手をあげるのも仕方がない。」と口数の少ない兄が答えた。

続けて「妻は夫に従うべき」

と。

おいおい、これ、かんっぺきに「夫尊妻卑」じゃないか?

この兄。この談話以前にあった、夫と私の諍いを見ているし、その際、夫が脅しを込めた言い方をしているのも見ている。そのケンカも、夫に非があると私は思っていた。ケンカがどんなにひどくなろうとも、見て見ぬ振りで、私に危険が及ぼうとも、部屋を出て行くこの兄は、結局のところ、そんな考え方があったからか、と軽蔑した覚えがある。

男の言うことは常に正しい。女はそれに従っていればいい。

これに、「はーい」と心の底から素直に言える女は、たとえセネガル人女性でも少数派と思います。実際、セネガル人女性は、強い。その強さゆえに、あえて子供のような男をたてて、しっかり舵取りをしなさい、というのが、セネガルでの良い妻教育なんでしょうか?

でもだ。でもだ。

うちの場合、夫は私に一言聞いてから、物事やった方がいい、というシーンが多い。生活の場を日本に置く限り、私は夫に従ってばかりはいられない。夫をたてる、というのも、結構なテクがいる。(あまりたてたことはありませんが。)いずれにしろ、生きてる時間も長く、土地の利もある私の方が、夫より経験値が高いのだ。夫の判断を仰いでいたら、手間でしょうがない。そんなにゆっくりな日常は、うちにはあまりなかった。

夫も「セネガル社会は、君がどうがんばっても、女より男が上」と諦めたように言ったことがある。日本も未だ、そういうところがあるが、セネガルの場合は、社会的にも、生活のあらゆるシーンでも、それがあからさまに見えることが多い。言っちゃ悪いが、第二夫人、第三夫人を正々堂々と娶れるのに、妻が他の男性に目を向けることは、言語道断って、そんな宗教じゃない人なら「なんでやねーん!」と誰もがつっこむところだろう。

セネガルでも、私が出会った男性で、「男は女より上」なんて態度をとる人は、今や大抵が教養が低い人と思われます。
しかし、教養人でも欧米のような、レディファースト文化はないんですね。自分より弱い老人子供女性には助ける、親切にする、というセネガルの良き教育によるもの。少々、日本と重なるところもあります。

夫の言うことを聞かないなら、手をあげられても仕方ない、なんて言い出せる兄には、私、あの時「あんた、私に当てつけで言いやがってんのか!!!」と心の中でメラメラ怒りながら、かなり噛み付きましたが、他、弟も、夫も、「セネガルではそうだ」と黙認してました。
そんな気持ちが根底にあるから、自分のこと棚に上げて、私に甘えるのか。こんな奴と一緒にいて、自分を律すれば律するほど、「妻なんだから当然」と思われているようで、何年目でしょうか。私は、夫に対しては、自分を律することを控えるようにする「努力」をしていたように思います。

もちろん「暴力は何があっても反対!」と、掲げて。

こんな「夫尊妻卑」スタンスは、かの有名な「ルーツ」著書の中でも、書かれていたように思います。テレビでもケニアでの夫婦会話に同じようなスタンスを見たことがあります。アフリカ男というのは、そんなもんなんすかね。

私の経験は、アンラッキーなだけなんでしょうか。それとも、私がキツいだけなんですかね。

(fatou@吉)
by gattsaf | 2005-09-11 18:38 | セネガル人ってさ
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