以前、fatou@吉が割礼について書いていたが、我が家でも長男が生まれたときは、「するか、しないか」で、なかなか激しい議論があった。もちろん、イスラム教徒の夫が「する派」、非イスラムの私が「しない派」である。
夫は「セネガルでは生まれてすぐに病院でやってしまうことも多い」と言っていたが、12年前の当時、保健所やいくつかの病院に訪ねたところ、乳幼児にそんな手術をしたことがある病院は皆無で、皆が皆そろって「全身麻酔が必要になるので、乳幼児には大変リスクが高い」という返事。そんなに大変な事になってしまうのか、と夫も「すぐやる」のは諦めた。その後、セネガルに連れて行くたびに「する」と「しない」で議論はあったが、力づく(声の大きさ、口数の多さプラス熱情)で私が勝った。 割礼のほかにも、セネガルでは当然だけれど、私がしない事、それが「女の子のピアス」と「体罰」である。 セネガルで会った女の子達は、豊かな子は金で、貧しい子は小枝で、皆、穴をあけていた。しかし、考えすぎかも知れないが、幼い女の子のピアスってのは、首に重い首輪をつけて首長にするとか、唇に円盤をはめて伸ばすとか、纏足とかと同じ、結婚のための、男のための肉体改造に思えてしまう。そうじゃない、ただ可愛いからと言うのなら、わたしゃ、自分の娘は、痛い思いをさせてまで可愛くしたくない。 体罰も、セネガルでは子どもが駄々をこねるたび、「どうしてぶたないの?」と聞かれた。「ヨーロッパ人もぶたないってね。先進国の子どもの人権って訳か」などと皮肉られた事もあった。「言って聞かなきゃぶって聞かせるのがセネガルのやり方」だそうな。そりゃ、私だって、たまには頭にきちゃって思わず手が出る、という事もある。でも、その後は、怒りに負けた、と恥ずかしくなるし、二度とするまい、と思う。それに対し、うちの夫は相当温和で穏やかな人間だけれど、子どもを叱る時には、「ダマライドールデ!!(ぶっとばすぞ)」などと言い、いざという時はベルトを持ち出す。カッーとなってではなく、計算ずくで体罰をしようとする。これは解せない。受け入れがたい。親対子ではなく、夫対妻戦へ即、移行となる。 要するに、私は自分の子に痛みを与えたくない。たとえそれが宗教でも、慣習でも、夫の考え方でも、私が納得できない以上、やらせない。 出産時、あれほどの痛さを伴って、産道が開き、骨盤がきしみ、会陰が裂けても、時が経てば肉体はちゃんと回復する。昔、若気の至りで8つもあけたピアスの穴も、放っておいたら塞がってしまった。そういう肉体の復元力を身をもって体験しているから思う。故意に肉体を傷つける事は、自然の摂理に反するんじゃないか。ならば、いくら親でも、自分のものではない体を、子ども自身の体を、傷つけてはいけない。 気が小さくて、人に同調しやすく、言いたい事もなかなか言えないお調子者。そんな私でも、「これはゆずれません」なんてしゃあしゃあと声高に主張するようになるんだから、国際結婚の子育てっておもしろい。 (マギーチャン)
by gattsaf
| 2004-10-10 17:54
| サマドム(my baby)
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