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黒人さん
 できるなら使ってほしくない、聞きたくない、ましてや決して言いたくもない言葉。しかし、使った人の気遣いも遠慮も察せられて、気の毒にもなっちゃう言葉。それがこの「黒人さん」である。

 セネガル人を家族に持ってこの道十何年、知り合いどころか親戚だけで何百人にもなる私は、そりゃーないよ、と思うが、「アフリカ人は運動能力が優れている」「リズム感が良い」「スタイルが良い」「踊りがうまい」なんてことを信じている人はけっこういる。

 そういう人が、まあ褒め言葉のつもりで私に「やっぱり『黒人さん』はすごいわねえ」なんて言ったりする。

ズバリ「黒人」と言い切らずに「さん付け」にするあたり、言う人の苦しさが伝わって来るじゃあありませんか。失礼だとわかっているんじゃん。

 何故に失礼か。
 とくと考えてみました。以下結論。

 個性、能力、生まれや育ち、母国の文化、そういう大切な、人となりに関わる全てをバッサリと切り捨て、ただ肌の色にのみ焦点を当てて、人をひとくくりに形容する言葉、「黒人」とはそういう言葉だから。そしてその肌の色のために、いまだに差別や軽蔑があるから。

無意識にその言葉の無礼さ、いかがわしさに気づいているから、平気で人のことは「白人」だの「黒人」だの言う人が、自分たちのことは「黄人」とは言わず、「黄色人種」なんて学術用語で代用しちゃうんじゃないでしょうか。あるいは「アジア人」なんてね。「アフリカ人」てのがいないように、「アジア人」なんていないでしょうが。日本人と香港人が、セネガル人とモロッコ人が、共通のメンタリティ−を持つ民族として一緒にくくれるか?無理でしょ?

もともと国籍や民族を表す「〜人」以外の「ナントカ人」が失礼な言葉である上に、「白人」とは違って、「黒人」には貧困、差別、暴力なんて負のイメージが、どっさりとついている。そういうビミョ〜な言葉をその家族に面と向かって言っちゃう苦しさゆえの「さん付け」。世間一般のステレオタイプの「黒人」と、あなたのご主人や子供さんは違うわよね、って言ってくれているつもりか?

それほど苦しいんなら、遠慮するなら、そういう言葉を使わないと表現できないこと(黒人はなんとか)って、事実じゃないんじゃないか、間違った認識なんじゃないか、って、言う前に踏み込んで考えてもらいたいなあ。

by みんみん
by gattsaf | 2005-11-17 05:53 | ときどき日記
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